
「学校が楽しい」子どもたち
「ねえ、明日から学校休みになっちゃうの? さみしいなー」
「今日、学校でお米の種を塩水につけたんだよ! いい種とそうじゃない種を分けて、お米の苗を作るんだって!」
子どもたちは、学校を楽しみ、学ぶ喜びを日々感じています。

「NPO法人どんぐり自然学校・どんぐり幼児園」は、鹿児島でシュタイナー教育・自然体験学習を土台に運営する、全日制のオルタナティブスクールです。
「自然を愛し、仲間を愛し、郷土を愛す。ともに生きていく力を育む教育」を大切に、一人ひとり子どもたちの内なる可能性を大切に育む教育実践を重ねています。
1994年に幼児期の子どもの教育から始まり、30年以上を経た現在では、幼児園から中学3年生までの約40名が学びの日々をともにしています。
どんな学校で、どんな学びをしているか

「シュタイナー教育」を土台に、教室での座学と、自然の中で五感を使って学ぶ体験を教育活動の軸にしています。教科の枠を超えて総合的な学習を行い、学んだことを自分だけのノートにまとめていきます。
音楽や、色・形を通して表現する芸術活動が感性をはぐくみ、個性としてあらわれます。

毎年、各学年が自分たちで決めた挑戦に取り組む「屋久島キャンプ」で子ども達は大きく成長を遂げます。

お米づくりは、苗を育てるところから始めて、皆で植え、収穫して味わいます。

子どもたちは自分の手と心を使って世界と向き合い、考える力・共感する力・行動する力を育みます。
毎年子どもたちが企画・運営する学年祭(どんぐりの学芸会)は、ファンタジーや文学、伝統芸能を自分たちで創作して表現します。

テストや通知表など「学力での評価」は行ないません。代わりに、子どもの育ちを詳しく描写した「あゆみ」が毎年渡されます。
学びが、子どもたちの発達に応じた楽しいものになるよう、日々工夫して「学びとの出会い」を大切にしています。
シュタイナー教育とは
「シュタイナー教育」は、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育法で、一人一人の個性を見出し、年齢にふさわしい発達段階に合わせた教育が特徴です。
特に、「意志・感情・思考のバランス」を重視し、子どもが「真に自由な人間」になることを目指す “自由への教育” といわれます。
卒業後の進路
どんぐり自然学校には高等部がないため、公立高校や、他の地域のシュタイナー学校、通信制高校など様々な進学をしています。
その後の進路は、医師、教育者、報道機関、包丁研ぎ師、カフェ経営、カメラマン、エンジニアなど、個性同様、多岐にわたります。

「自分が好きなものは何なのか」「自分は何者なのか」という問いと常に向き合っている子どもたちは、卒業後も迷いなく進路を切り開く勇気を持てるのだと思います。
(卒業生インタビュー記事はこちらから)
どんぐり自然学校・幼児園で過ごす子どもや保護者の声
子どもたちの声
「どんぐりでは、自分でやりたいことを見つけて、とことん取り組める。先生も友達も、いつも応援してくれる」
(在校生6年生)
「田んぼで育てたお米は、自分たちの手で収穫したものだから特別においしい。自然の中で学ぶことがたくさんある。」
(在校生4年生)
卒業生の声
「どんぐり自然学校での9年間は、自分で考え、自分で決める力を育ててくれました。今、大学で環境問題について研究していますが、子どもの頃の自然体験がすべての原点です」
保護者の声
どんぐり幼児園に足を踏み入れると、猫が歩みより、ニワトリ達が元気いっぱいに鳴いて出迎えてくれます。動物たちが身近にいることで、子どもたちは命の温かさを感じながら過ごすことができ、触れ合い、世話をすることで自然への愛情と優しさが育まれていると感じます。また、どんぐり自然学校・幼児園では異年齢の子ども達が共過ごし、学び合う時間が大切にされています。小中学部のお兄さん、お姉さんが遊びに加わり、ブランコを押してくれたり、かくれんぼをしたり・・・。こうした交流の中で自然と思いやりや尊敬の心が育まれていると感じます。年齢にとらわれないつながりが心を豊かにする・・・。異年齢で過ごすからこそ、子どもたちがお互いを支えながら成長していく様子が感じられます。
(幼児園・小学部 保護者)
毎年取り組んでいる屋久島キャンプでは、全てが子どもたちの学びになっていると思います。小学校1年生から中学3年生が屋久島キャンプの目標等を考え、高学年になると一人一人の研究課題にも取り組んでいます。現地では天候の変化もありスケジュール通りにいかないこともありますが、臨機応変に対応し、何がベストなのかを考えて行動する・・・。このような経験は子どもたちの生きる糧になり、たとえ目標を達成できなくても、これからの人生においてこの経験は宝物になると感じています。
(小学部・中学部 保護者)
長男の不登校がきっかけで、3年前に移住してどんぐり自然学校にやってきました。どんぐり自然学校・幼児園にきて救われたのは、子どもたちがクラスメートを競争相手とは見ない所です。先生も、子どもをそのまま受け容れ理解しようとする気持ちがとても強いです。だからか、どんぐりの子どもは、どんな子がやってきても興味を持ち親切に接してくれるように思います。お互いの持味に気づき、足りない所を補い、支え合う力は、私からすると「超能力?」と感じるほどです。
どんぐりでは、以前不登校だった長男も保護者である私もそのままの自分のままで見放されないし、自分が「欠点」だと感じる部分があっても愛され、意見を受けてもらえました。”理解し受け入れてもらえる”という安心できる場所を経験したからこそ、長男は本来の自分の持っている能力を発揮できるようになったのではないかと思います。
(小学部・中学部 保護者)
教師たちの子どもたち・どんぐり自然学校・幼児園への想い

永綱ユミ子(写真右)|NPO法人どんぐり自然学校・幼児園 代表
内田惠美子(写真左)|NPO法人どんぐり自然学校・幼児園 理事
どんぐり自然学校は、今から32年前(1993年)にできた幼児園「どんぐりのいえ」がきっかけです。そこでは小さな森の中にヤギや鶏などの動物たちと自由に伸びやかに育っていける環境を作り育ててきました。
子どもたちは、喜びに満ちた生活を望んでいます。幼稚園や土曜クラスで育った子どもが学校に通い始めると、年々肩を落として元気がなくなり、時間に追われ、友達と遊ぶことも、ましてや自然と遊ぶことすらできない状況を見てきました。学校では「できる子」「できない子」の評価を気にし、宿題を必死にやっても間に合わず、どんどん子ども達が小さく丸まっていきます。やりたい遊びもできないでいます。
「学齢期の子ども達が毎日楽しいなと思える、そんな学校があったらいいな。」
「子どもたちが未来に希望がもてる社会であってほしい」
「そういう社会を子どもたちと築き上げていこう」
と願い、2010年4月にどんぐり自然学校(全日制)を設立しました。
「自然を愛し、仲間を大切に、そして自然と共に生きていく力を身につけていく」が、どんぐり発足時からのテーマです。
どんぐり自然学校は「自由への教育」をめざして、子どもたちの生きる力を十分に引き出し、ものを発見する喜び、探求心、好奇心をよびおこし、想像と創造力を豊かにしていく場。そして、仲間と共に喜びあい、互いの人格を尊重しあいながら育っている場です。自然学校を拠点として、親や教師が一体となり、子どもを取り巻く環境を整備し、四季折々の自然を活かした遊びや芸術活動を取り入れた学びの場を土台としています。
また、どんぐり自然学校は、不登校になっている子ども達や発達的に困難を抱えている子ども達も区別なく一緒に過ごしています。どんぐりをつくったときから、ハンディのある子もない子も一緒に、の思いでやってきました。子どもたちは異年齢の仲間の中で、お互いの「あるがまま」を受け入れて過ごし、「私はわたしでいいんだ」そして「あなたはあなたでいいんだ」という体験を通す中で、一人ひとりを大切にする精神が育っていきます。子どもたちは今まで育ち合ってきたものを互いの中で高め合って、心地よさを感じ、生き生きとしています。また、子どもたちが生きる力をつけて活動していくのを見守る親集団も、大きな視点で子どもを育てています。
これまでも多くの方々の支援やご協力を頂き、現在のどんぐりが存在していると思います。心から感謝いたします。これからも様々な方々や地域の学校、教育委員会と連携を取りながら未来を拓いていきたいと願っています。子ども達には未来があり、あきらめない大人がいて、輝く未来をつくっていくことでしょう。

〒892-0971 鹿児島県鹿児島市吉野町9468 [MAP]
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